ヤズコルヤズカマク

ヤズコルヤズカマクとはケチュア語で「行って目にして帰ってきたもの。目撃者…火山の内部を見た者。翼をもつ赤い存在…自らの弱さを全て焼き払った…を意味する(「赤の自伝」より)

MTさんへの手紙 その5

拝啓 冬が寒さを使って自己主張してきます。わかったわかったって感じです。
まずは手紙と差し入れ本ありがとう。そうか「他人事」はそんなにエグかったのか…。「読み終えると意外な生命力が湧き上がってくる」と書評にあったから興味をそそられたんですが…そうか…。とにかくじっくり味わうことにします。(本は検閲の関係で手元には手紙より何日か遅れて届くのでまだ受け取れていません)。次からはMTさんのキャパを考慮したリクエストにしたいと思います。
さて、心配していただいた痔については出血はあの一回きり。なんだったんだろう。啓示?福音?ちょっと怖いです。今はとりあえずいたって快調です。まわりからボクのことを聞かれたら「痔を悪くして」って伝えておいてください。きっとみんなワーカーらしく忖度してくれるはず。
さてさて、クスリがらみについてPSWとして何ができないかと考えているそうで…コメントしたいけど手紙の枚数制限があと一枚。足りそうにありません。次回にまわします。
ただここにいる薬物事犯者(ボクも含めて)の実情は、誰一人として更生する自信のある人はいないって感じです。運動中にいつも話しているんですが、クスリの「ク」の字もでないと書いてあったけど、逆です。もうクスリの話題だらけ。全編スリまみれ。オクスリパニック。ノードラグノーライフ。もし自分が売人だったら誰に売ったら安全で誰がやばいのか、そんな冗談か冗談じゃないかわからない冗談を笑いながら傷をなめ合ってます。
皆「やめたいけどやめる自信がない」。そのジレンマに気づかないフリをして自虐的にこりない我らを演じて、どうにかこの絶望的状況を楽しもうとしているように見えるときもあります。(当事者としてかなりバイアスのかかった洞察ではありますが)。まあこんなんだからはたからは首を傾げられてしまうのも無理はないのかな。
ボクがクスリに手を出したきっかけ?…これもそれなりのドラマ(スケールはメロドラマ程度ですが)なのでまた機会があればまたいつか。
ゲイとクスリの親和性。ここいらもまとめて次回の手紙に書こうね。
Oさんの担当を引き継いでくれたようでありがとうございます。大変でしょう。お察しします。送った「その後の不自由」「摂食障害との出会いと挑戦」は参考になるよ。本が人を支援するわけではないけれど、知っておくことでできることは変わってきます。
Oさんについては今の自分だったらあーしたいこーしたいというプランがいくつもあって…これを伝えたいってことは罪悪感の深さでもあるんでしょうね。
時間と距離をあけることで気づくこと見えてくることは沢山あるんだということを実感する毎日です。(ここまで遠く来なくてもとは自分でも思うけれど…)。
予想通り中途半端なところで終わりになってしまった。MTさんの手紙は「ちょっと!しっかりしてください」と両手で肩を揺さぶるようなところだあって、ボクは頭をふって正気に戻ります。するとしけたせんべいみたいな生活が少しきらきらしてみえだします。ありがとうね。また手紙ください。じゃあ。ハブアナイスエブリシング。

追伸 今年読んだベスト5を送ります。どれも傑作ぞろい。帰省の電車のお供にでも。

 

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